広大附属中の受検でよくあるお悩み
広島大学附属中学校(広大附属中)は、自主性を重んじる校風や高い進学実績から、毎年多くの小学生が目標として目指す学校です。
その一方で、ご家庭からは「倍率が高くて手応えが掴みにくい」「年度によって過去問の点数が大きく上下して、合格ラインの目安が分かりづらい」といった相談をよくいただきます。
目標に向けて迷わず準備を進めるためには、まず学校から公表されている正確な入試データを確認し、落ち着いて現状の傾向を把握しておくことが大切です。
ここでは、新しく公表された令和8年度(2026年度)の公式資料を含めた直近4年間のデータをもとに、実質倍率の推移や科目ごとの平均点の動き、そしてご家庭でできる具体的な学習のポイントを整理しました。
過去4年間の受検者数と実質倍率の推移
まずは、一般受検(附属小学校出身者を除く外部生)における受検者数と合格者数の推移を確認してみましょう。
- 令和5年度(2023年): 受検者905人 / 合格者150人(実質倍率:約6.03倍)
- 令和6年度(2024年): 受検者836人 / 合格者120人(実質倍率:約6.96倍)
- 令和7年度(2025年): 受検者762人 / 合格者140人(実質倍率:約5.44倍)
- 令和8年度(2026年): 受検者700人 / 合格者135人(実質倍率:約5.19倍 ※追加合格4名を含めると約5.04倍)
受検者数全体を見ると、選択肢の多様化などを背景に緩やかな減少傾向が続いており、令和8年度は700人となりました。一方で合格者数も130〜140人前後でコントロールされているため、実質倍率はおおむね5〜7倍の範囲で推移しています。
市内の中学校入試の日程が分散し、併願校を選びやすくなったことで、記念受験層が落ち着き、広大附属中の傾向に合わせた対策をしっかり積み重ねてきた層が中心になって競り合っている状況がうかがえます。
算数と理科に見る合格者平均点の変動
広大附属中の配点は、国語と算数が各100点(各45分)、理科と社会が各60点(2科目合わせて45分)の合計320点満点です。
年度ごとの手応えの差が特に現れやすいのが「算数」と「理科」です。一般合格者の平均点の推移を見てみましょう。
- 算数(100点満点):
- 令和5年度:81.6点
- 令和6年度:67.9点
- 令和7年度:79.1点
- 令和8年度:70.8点
- 理科(60点満点):
- 令和5年度:37.3点
- 令和6年度:52.4点
- 令和7年度:49.8点
- 令和8年度:43.5点
※なお、令和8年度の他教科の合格者平均点は、国語が69.3点、社会が47.1点でした。
算数は、令和5年度や令和7年度のように合格者平均が80点前後に達する年もあれば、令和6年度(67.9点)や令和8年度(70.8点)のように約70点前後まで下がる年もあります。理科も同様に、年度によって40点前後から50点台前半まで幅があります。
広大附属中の出題は、教科書内容から外れた特殊な知識を問うものではなく、基礎の深い理解と試行錯誤する力を求める問題が中心です。そのため、作業量や条件の整理に手間がかかる設問が含まれる年度ほど、平均点が押し下げられる傾向があります。
過去問演習で「この年は点数が届かなかった」と焦る前に、その年度の平均点全体がどうだったかを確認することが大切です。
難しい問題に出会ったときの状況判断
平均点が落ち着いている年度の試験では、会場で受検生にかかる心理的な負担も大きくなります。
例えば、算数の平均点が下がった令和6年度や令和8年度のようなセットでは、大問の後半で条件を丁寧に書き出して試行錯誤しなければならず、普段よりも解答に時間がかかります。
普段の模試などで高得点を取ってきたお子さんほど、「解けないはずがない」と1つの問題にこだわりすぎてしまい、焦りからケアレスミスを重ねてしまったり、後半の時間配分が崩れてしまったりすることがあります。
難しめの問題が並んでいると感じたときは、「自分が手こずっているなら、周りも同じように悩んでいるはず」と受け止め、確実に解ける標準的な問題から手堅く点数を積み上げる落ち着きが求められます。
また、保護者の方から「附属小からの内部進学生が優遇されているのでは」というご不安を伺うこともありますが、得点データを見る限り、内部進学生もしっかりと合格水準を満たして合格しています。特別な枠組みを気にする必要はなく、基礎力を鍛えて全体の上位を目指す準備に専念すれば大丈夫です。
ご家庭で取り組める3つの学習サポート
最新のデータ傾向を踏まえ、ご家庭での過去問演習や日々の学習で意識しておきたいポイントをまとめました。
- 平均点が低かった年度を使って、解き順の判断を練習する 過去問を解く際は、合格者平均点が低かった年度(令和6年度や令和8年度の算数、令和5年度や令和8年度の理科など)に挑戦してみるのがおすすめです。思ったように点が伸びなかったとしても、「この年は平均点自体が低かったから、難しい問題を後回しにして取れる問題を確実に拾う練習になったね」と声をかけてあげてください。本番で解きにくい問題に出会ったときの良い予行演習になります。
- 間違えた原因をノートの余白に一言メモする 実質倍率が5倍前後で推移する試験では、誰も解けないような難問を取ることよりも、多くの受検生が合わせる標準的な問題を落とさないことの方が合否を分けます。丸つけの際、赤ペンで答えを写すだけで終わらせず、「問題文の条件(すべて選ぶなど)を見落とした」「計算の繰り上がりで写し間違えた」といった理由を、お子さん自身の言葉でメモする習慣をつけてみてください。日頃の計算ミスを根本から減らす考え方については、【中学受験の算数】計算力を引き上げる指導と4つの知識体系 でも詳しく解説しています。
- 調査書(150点分)を意識して、日々の学校生活も大切にする 広大附属中の入試では、当日の学力検査(320点満点)に加えて、小学校から提出される調査書に150点が割り振られています。国語や算数(各100点)を上回る配点があるため、当日のテストだけでなく、小学校での日頃の学習態度や提出物、実技教科の取り組みも同じくらい大切です。塾の勉強だけでなく、普段の学校生活に丁寧に向き合う姿勢が、安定した合格ラインへの後押しになります。
広大附属中入試 よくある質問(FAQ)
Q. 広大附属中の合格ライン(ボーダーライン)は何割くらいですか?
A. 学力検査(320点満点)において、合格者平均点はおよそ7割〜7割5分(220〜240点前後)がひとつの目安になります。ただし、年度によって算数や理科の難易度が大きく変動するため、「素点で何点取れたか」だけでなく「その年度の合格者平均点に対してどの程度の手応えがあったか」で判断することが大切です。また、当日の学力検査に加えて調査書(150点)の配点も合否を大きく左右します。
Q. 広島学院やノートルダム清心など、私立難関校の対策と何が違いますか?
A. 私立難関校(広島学院や清心)では高度な思考力や難問への粘り強さが試されるのに対し、広大附属中は教科書内容に基づいた標準的かつ良質な出題が多く、「標準問題を確実に合わせる高得点勝負」になりやすいのが特徴です。出題傾向や求められる学習姿勢の具体的な違いについては、【広大附属中対策】広島学院・清心とは異なる出題傾向と「高得点勝負」の対策 をあわせてご一読ください。
Q. 小学校の調査書(内申書)150点は、どのように合否に影響しますか?
A. 調査書(150点)は学力検査(320点)の3割強に匹敵する非常に大きな配点比率を占めます。主要4教科(国語・算数・理科・社会)だけでなく、音楽・図工・家庭・体育といった実技教科の評定や日常の学校生活の様子も評価対象となります。試験当日の学力だけでなく、小学校での日頃の学習態度や提出物を丁寧に積み重ねておくことが合否の土台となります。
Q. 過去問演習で合格者平均点に届かないときは、どう復習すればいいですか?
A. まず、その年度全体の合格者平均点を確認してください。平均点が低い年度であれば過度に焦る必要はありません。復習の際は、誰も解けないような難問に時間をかけるのではなく、「本来取れるはずだった基本・標準問題でなぜ失点したのか」を分析ノートに記録し、ケアレスミスや条件見落としを徹底的に潰すことが合格への最短ルートです。なお、記述で差がつきやすい国語の演習については、【修道・広大附属】国語の「見つける病・つぎはぎ病」を克服!偏差値60突破の読解術 も役立ちます。
広大附属中の入試は、倍率が高く年度による平均点の波もあるため、準備期間中は不安になることもあると思います。ただ、出題される内容の根底にあるのは確かな基礎力と、状況に応じた落ち着いた判断力です。
「難しい問題が出ても周りも同じ」「まずは手元の基本問題を丁寧に」という視点をご家庭で共有しながら、日々の学習をひとつずつ積み重ねていってくださいね。
出典・参考資料
- 広島大学附属中・高等学校「入学検査情報開示」(同校公表の令和5〜8年度「入学検査に関する資料」をもとに作成)